奇跡的な景観と、
熱狂を生むワンフロア。
このオフィスから
「未来」をつくる。
READYFOR株式会社
代表取締役CEO 米良 はるか 氏
- 会社名
- READYFOR株式会社
- 代表取締役社長
- 米良 はるか
- 設立
- 2014年7月
- 所在地
- 東京都千代田区麹町1丁目12-1 住友不動産ふくおか半蔵門ビル
2階 - 事業内容
- クラウドファンディングサービス「READYFOR(別窓で開く)」の運営、
法人向けSDGsマッチング事業「READYFOR SDGs(別窓で開く)」の運営 - URL
- https://corp.readyfor.jp/(別窓で開く)
取材日:2019年12月
※取材・撮影内容・会社情報等は取材日時点のものです。
「想いをつなぐ金融機関」。
これはREADYFOR株式会社(別窓で開く)が目指す自社の姿。日本でいち早くクラウドファンディングサービス『READYFOR(別窓で開く)』を開始し、さまざまな夢の実現を支援してきた同社は、個人から個人の枠を超えた「お金が流れる仕組み」を構築すべく新たなスタートを切りました。
企業のロゴデザイン、ステートメント、サービスUIなどの刷新。そして、奇跡的なオフィスとの出会い。
代表取締役CEOの米良はるかさんが「ここは圧倒的だった」と語る新しいオフィスとは?企業のこれまでの「歩み」・「想い」・「目指す未来」とともに、それを紐解いていきます。
インタビュー
「オフィス=コスト」その考えを
変えた、ある経営者の言葉
2011年のサービス開始から8年、オフィスはずっと文京区にあったそうですね。
はい。当社はもともと東京大学発ベンチャーのオーマ株式会社の一事業としてスタートしたので、最初は東大から歩いて3分の木造アパートの3階を借りていました。10畳の部屋でメンバーは5人くらい。エレベーターが狭くて、急いでいるときは階段を3階まで駆け上がっていましたね(笑)。
当時はまだクラウドファンディングという概念が日本にあまり浸透していなかった時代だと思います。どんな想いでサービスを立ち上げたのでしょうか。
当社は「誰もがやりたいことを実現できる世の中をつくる」をビジョンに掲げていますが、これは私が大学時代から抱いていた想い。最初に始めたのは、ネット上に「投げ銭サイト」をつくってパラリンピックのスキーチームに100万円を贈るプロジェクトでした。その後、アメリカ留学時にクラウドファンディングに出会い、自分でそのサービスを立ち上げるべく『READYFOR(別窓で開く)』をスタートしたんです。
肩書きも実績もない中での挑戦でしたが、必ずこういう未来が来るという自分の強い信念の下、がむしゃらにやってきました。
その後、オフィスはどう変遷していったのですか?
最初の引越しは2013年、移転先は東大から程近い根津エリア。翌年にオーマからREADYFOR株式会社(別窓で開く)として独立しました。
このときのオフィスは2フロアだったのですが、当社の社外監査役も務めていただいている、ある知人の経営者から「今の会社規模で2フロアはダメ。毎日みんなが顔を合わせて“熱狂”を生むようなオフィスにしなきゃ」と言われたのがずっと頭に残っていて。それでメンバーが50人を超えた2016年、本郷のワンフロアのオフィスに移転しました。
そもそも私の中で、オフィスは「コスト」だと思っていました。だからその知人の経営者に言われるまでワンフロアにこだわったことはなかったし、内装の施工にもお金をかけてこなかった。でも、メンバーが100人に近づいてきたタイミングで逆に「この空間、生産性が悪いな」と自分でも感じるようになりました。限られた時間で最大限のパフォーマンスを発揮するには、みんなが気持ちよく働けるオフィスが不可欠だと。
だから今回の新しいオフィスは、今まででいちばんこだわりました。物件選びから内装、レイアウトまですべて私がコミットして進めました。
エネルギーが満ちあふれる
奇跡的な景観
慣れ親しんだ文京区を離れて、千代田区に移転したのはなぜですか?
緑豊かで閑静な本郷周辺は、仕事に集中できて気分転換もできる理想の場所。本当は離れたくなかったのですが、120人を超えた今の人数でワンフロアに移転するとなると、空室が全然ありませんでした。それでいて本郷のように穏やかな別の場所がないかと思い、住友不動産さんに幾つか物件を紹介していただき、「半蔵門」という場所に出会いました。
この「 住友不動産ふくおか半蔵門ビル」を選んだ決め手は?
ここは正直、圧倒的でした。ビルの前が皇居で、窓の向こうはイギリス大使館の庭。解放感ある広い窓から緑と光にあふれていて、まるで森の中にいるみたい。働くみんなのエネルギーが満ちあふれそうな、奇跡的な景観だと思いました。スタンフォード大学に留学していた頃はよく外で勉強していて、その光景を思い出しましたね。
移転と同じタイミングでCI(コーポレートアイデンティティ)を刷新することになっていて、内装は新しいロゴに合うようにシンプルにしたいと考えていたので、窓からのこの景色も映えるに違いないと感じました。
あとは、空間を遮る大きな柱がないこと。イベントスペースと執務スペースがあるのですが、どちらも全体を見渡せるワンフロアで、それぞれに設けているミーティングルームもガラス張り。社長室はなく、私もみんなと机を並べて仕事をしています。
全員が物理的に顔を合わせられるので、部署間の交流も盛んですし、新しいメンバーが入ってきても馴染みやすいようです。会社というコミュニティを醸成しやすいオフィスになったなと感じますね。
それにここ半蔵門という場所は、高層ビルが多すぎず、最寄りの半蔵門線とタクシーでどこにでも行けるアクセスのよさが気に入りました。だって半蔵門線って最強ですよ?(笑)。
その「知人の経営者」の方のアドバイスを実現するのに最適な物件だったのですね。このイベントスペースは広々としていて
バーカウンターもありますが、どんなシーンで使われるのですか?
社内イベントを大事にしている会社なので、社員主催のイベントなどをよく行なっています。ドアを閉めればマイクを使っても執務スペースに響かないですし、暖色のライティングにしたことで雰囲気もいいと評判です。READYFOR(別窓で開く)を活用してくださった実行者の方々が集まり、支援者向けの報告会や交流会が開催されることもあります。
前回のオフィスにもイベントスペースはありましたが、使い勝手やアクセスが向上したことで利用頻度はぐっと高まりました。社内の忘年会もここで実施するなど、大体のことはオフィスで行なわれるようになりましたね。
ちなみに、ミーティングルームの名前がユニークで気になります。「巻き込み力」や「○○視点」など…。
それは当社のバリューです。たとえば「巻き込み力」は、社内外や社会を巻き込んで世の中を変えていこうという意味。7つのバリューを各ミーティングルームの名前にしています。部屋を使うときはルーム名で呼ぶので、社内に自然とバリューが定着しました。最初は日本語表記だけだったのですが、見栄えがちょっと悪くて…英語表記を急遽足しました(笑)。
「想いをつなぐ金融機関」へ
先程のお話にありましたが、オフィス移転と同時にCIを刷新されたのは、どんな狙いがあったのですか?
実は、2017年の秋から7か月間、病気で休業していました。その療養中に会社の未来についていろいろ考えて、実現したい未来をあらためて明文化したのです。
当社はこれまでに個人支援総額100億円以上、支援者60万人、プロジェクト数1.2万件の実績をあげてきました。現在も毎月数千件のお問い合わせをいただいています。一方、ここ2年でいわゆるソーシャルセクター(医療機関/NPO等)・パブリックセクター(政府/自治体等)の領域が強くなってきていて、自治体・大学・医療機関などに数千万円単位で資金が集まることが当たり前になってきました。
これらの領域は短期的な営利性が低いため、今の資本主義のメカニズムではお金が流れにくい。こうした、従来の仕組みではお金が届かないけれど長期的に見ればイノベーションが起こりうる分野に対して、資金力のある法人などから「お金」と「想い」を集めて届けていく。そんな「金融機関」を目指したいと改めて考えたのです。
それにともないCIもきちんと新しくしようと、当社のクリエイティブアドバイザーでもある有名な方に依頼してロゴやサイトデザインを刷新。
ロゴデザインには、誰かの想いを実現する会社、その想いとともに寄り添い続ける会社でありたいという願いを込めました。いろんな考えの人が集まるプラットフォームというアンビバレント(相反する性質が混ざり合うこと)なものを扱っていることから、もともとロゴに使っていた赤をグラデーションに変えて表現しています。
学生時代から抱いていた「誰もがやりたいことを実現できる世の中をつくる」という想いは、今もなお進化しているのですね。
近年は働き方改革の影響もあり、一人ひとりの時間に余裕が生まれてきています。副業やSNSの浸透により、会社や家庭以外のコミュニティで好きなことを追求する人も増えている時代です。そんなときに「金融機関にお金を借りる」ってハードルが高いですし、馴染まないですよね。もっと緩くていいと思います。
今の若い人たちは、地域や社会をよくすること、みんなの共感を集めやすいことに興味をもつ傾向があるので、そんな時代感も相まって新しい市場が生まれているのだと思います。手を伸ばせば届くところにあらゆる人が挑戦できる社会を目指し、私たちは「想いをつなぐ金融機関」として進化していきます。
「この仲間だからこそできる」
それが会社の価値
働き方が多様化している時代ですが、リモートワークなどに対してはどうお考えですか?
仕事を頑張りたいと思っている人に選択肢は用意してあげたい。当社でも、旦那さんの転勤で東京から離れなくてはいけなくなった女性社員がリモートで勤務しているケースはあります。
ただ、その彼女たちに伝えているのは「いつか戻ってきてもらって、また同じ場所で仕事がしたい」ということ。やはり世の中にまだないものを「できる」と信じてやり続けるスタートアップは、「みんなで一緒に熱狂」することが一番大事。個人でも価値を出せる時代である一方、「この仲間だからこそできる」というのが会社の価値だと思います。それにはやはり、「全員が同じ場所で働くこと」が不可欠です。
もちろん、会社の規模が拡大して物理的に難しくなったらその都度考えていきたいですが、今の当社は、「全員が一緒に熱狂できるオフィス」が必要なフェーズ。だからこそ、明日もここでみんなに会いたくなるようなオフィスを目指しています。
ありがとうございます。では最後に、これからオフィスを構える次世代の起業家のみなさんへメッセージをいただけますでしょうか。
創業直後のまだ数人のときは、場所もかまわず24時間がむしゃらにがんばるべき。でも会社が成長していくにつれ、当社のようにオフィスが重要になるタイミングが必ず出てくると思います。
そのときはぜひ、経営者自身が自らオフィス選びにコミットしてください。多忙な中で大変だとは思いますが、私は要件をあらかじめ明文化していたので、3か月くらいで効率的に契約まで至ることができました。
今のオフィスに移転後、さきほどの「知人の経営者」が社員向けにしてくれたスピーチの中で「みんなは喜んでいると思うけど経営陣はものすごくドキドキしています」と言っていましたが、本当にそのとおり(笑)。ですが、「このオフィスから自分たちの未来を実現していく」という決意を新たにできる大切な機会でもあるので、そのタイミングが来たら前向きに決断してほしいと思います。
※取材・撮影内容は、2019年12月のものです。
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