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The Voice of GROWTH グロースの声

! GROWTH

(グロース)とは?

席貸しから個室までフレキシブルにご利用可能な、住友不動産が提供する
家具付きインキュベーションオフィスシリーズです。

オープンイノベーションを浸透させ、

日本企業を元気に。大企業からMBOし、

急成長中のスタートアップ企業

オープンイノベーションを浸透させ、

日本企業を元気に。

大企業からMBOし、

急成長中のスタートアップ企業

株式会社eiicon

代表取締役社長

中村亜由子氏

@

GROWTH

虎ノ門

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株式会社eiicon

代表取締役社長

中村亜由子氏

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GROWTH

虎ノ門

株式会社eiicon 代表取締役社長 中村亜由子氏

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INTRODUCTION

自社だけでなく社外の技術やノウハウを活用し、これまでにない新しい価値を生み出す「オープンイノベーション」。日本では2010年代から少しずつ浸透し始め、近年注目度が高まっているイノベーション手法です。

株式会社eiicon(エイコン)が運営する『AUBA(アウバ)』は、オープンイノベーションで事業を生み出すプラットフォームとして2017年にいち早くオープン。以来、企業と企業の価値ある出会いを数多く支援してきました。これまでどんな道のりを歩み、この先どんな社会を目指していくのか、代表取締役社長の中村亜由子氏の挑戦ストーリーをお届けします。

#1 起業ストーリー

オープンイノベーションで、日本の中小企業が秘める可能性を最大化したい

インタビューイメージ01

まずは、オープンイノベーションプラットフォーム『AUBA』の事業構想が生まれた背景からお聞かせください。

もともとは、私がパーソルキャリア株式会社(当時:株式会社インテリジェンス)在籍時に、パーソルグループ横断での新規事業コンテストで採択された事業案でした。2015年頃、地方で製造業を事業として経営している知人が事業拡大のために協業先を探していると聞いて、何か力になれないかと思ったのがきっかけです。

日本の中小企業の技術力は、世界的に見ても非常に高い。企業同士が共創して新しい事業をつくることができれば可能性はもっと広がるのに、2015年当時は企業の「共創したい」という情報がまったく世に出ていませんでした。私は人材業界で求人情報を取り扱う中で、新規事業の公開可能な情報範囲などが肌感覚でわかっていたので、企業同士をマッチングするオープンなプラットフォームも実現可能に違いない――そう考えて育休中に起案し、復職後に推進することになったのが、現『AUBA』事業です。

その当時、オープンイノベーションという概念は日本にどの程度浸透していたのでしょうか。

オープンイノベーションという言葉自体は、2003年にアメリカで生まれたもの。日本に持ち込まれたのは2008年頃で、2010年代に入ってから徐々に大手企業が「オープンイノベーション」を冠したアクセラレータープログラムを実施するようになりました。ただ、当時はまだ東京の都心部の限られた企業しか知らないような状態。私も最初は「協業」「共創」といったワードで調べ始めて、のちにオープンイノベーションにたどり着いたような感じでした。

インタビューイメージ02

新規事業として採択され、2017年にサービスローンチするまで、どんな道のりがありましたか?

やはり、すでに大きな事業の柱を持っている企業が、まったく新しい事業を創出するということは非常に難しいこと。まさに私自身もゼロイチで新しい事業を生み出すということをする中で、数々の壁にぶつかりました。そのひとつが予算問題です。

2015年の育休中に事業案が採択され、私は事業化のために2016年4月に復職したのですが、グループ全体の予算会議がその2か月前の2月にすでに終わっていたのです。当然ですが、プラットフォーム開発には絶対に資金が必要なので、「予算会議を再度開いてほしい」と各グループに直談判。3か月近くかけて、なんとかその年の6月に会議の再開催に漕ぎつけました。

ところが次は、一度事業案が通ったにもかかわらず、コストがかかりすぎるという理由でまさかの却下。その場で「来週にもう一度15分だけ時間をください」と再び直談判し、一週間で事業計画を縮小して、7月からようやく予算をいただけることになりました。

こうして事業化に漕ぎつけてからは、2年以内に単月黒字化するという目標に向けて急ピッチでプロジェクトを推進。サイトオープン時に「200社の登録」がある状態にするために、オープンイノベーションに関するさまざまな記事コンテンツを制作するなど、今改めて振り返ると毎日が必死でした。そんな中、仕掛けた記事のひとつが大きな話題となり、2017年2月にサイトをオープンしたときの登録者数は当初目標の3倍の600社を達成。さらに、オープンから1か月後にはその1.5倍の1,000社を突破し、最高のスタートを切ることができました。

目標の3倍はすごいですね。企業のマッチングも順調に進みましたか?

はい。実はオープン前にいち早く、富士通さんとコニカミノルタさんの大手2社が発注してくださっていたのですが、どちらも2か月以内というスピード感で共創パートナーを発見し、オープンイノベーションの取り組みが具体的にスタートしました。

2社ともすでにしっかりオープンイノベーションに取り組んでいる企業だったので、発注いただいた時点では、どちらかというと私たちのビジョンを応援してくださる、という意味合いのほうが強かったのではないかと思いますが、結果的には「想像以上にいいサービスだった」と、他社さんにも積極的に紹介してくださったんです。そんなこともあいまって早い段階で成果をあげられたことで、事業は1年10か月で単月黒字を達成しました。

#2 これから実現したい未来

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#2 これから実現したい未来

「日本流」が通用しなくなった時代、現状を打破するカギは「オープンイノベーション」

インタビューイメージ03

2023年にMBOを実施し、株式会社eiiconとして再スタートしました。その経緯をお聞かせください。

パーソルグループはHRの総合事業会社なので、オープンイノベーションとは領域が違います。オープンイノベーションを主語にした意思決定やブランディングを強化していくためには、「独立」という選択が最適なのではないか。そう考えるようになりました。

そんな中、2022年11月に国が『スタートアップ育成5か年計画』を策定。オープンイノベーションがこれから社会的により注目されていくというフェーズに突入したこともあり、パーソルからも合意を得ることができました。そこから資金調達や社内調整を進めて、2023年4月についに株式会社eiiconを設立したのです。

これはパーソルの後押しがなくてはできなかったことだと思います。私の事業案を実現し支援してくれたパーソルグループに少しでも恩返しができるように、今ではあえて「パーソル出身です」と、いろんなところでアピールしています(笑)。

企業のマッチングから実際に事業が生まれるまでには時間がかかると思いますが、『AUBA』でのオープンイノベーションの成果は出始めていますか?

はい。最近ようやく目に見える成果が出始めています。たとえば2019年にスタートした、宮崎のカツオ漁業会社と東京のAIスタートアップのプロジェクト。カツオは一本釣りなので、群れの場所を突きとめる経験則が必要ですが、漁師の高齢化・減少が進んでいて漁獲高に影響が出ていました。そこで10年間の航海日誌をAI技術で分析し、カツオがいる場所を発見するセンサーを開発。2023年に初めて、プロジェクト開始当時の2019年の漁獲高を上回ることに成功したのです。

本プロジェクトは取り組み開始から4年での成果。すでにほかの企業様との共創も複数スタートし広がりを見せています。地方の一次産業と首都圏のスタートアップのコラボレーションは『AUBA』らしい事例ということもあり、『AUBA』というプラットフォームの存在意義を社員一同改めて実感することができました。

また、2020年にスタートしたプロジェクトも成果が出ています。NTTコミュニケーションズの「鉄塔」に、京大発スタートアップのメトロウェザーが開発した「風の状況を計測する装置」を設置して、風況データの取得提供サービスを始めるというもの。風況データはドローンやエアモビリティの普及に不可欠で、世界的にニーズが拡大しています。2社のコラボにより進化した装置は、日本の国交省やNASAの実証実験でも採用されました。

インタビューイメージ04

2017年のサービスローンチから7年が経ちましたが、日本のオープンイノベーション市場の変化をどう捉えていますか?

少しずつ変化はしてきていて、特にここ2年くらいで一気に浸透し始めている印象です。日本は戦後の高度経済成長で「効率よくスピーディに大量生産する」という事業のやり方を極め、成功体験を積み上げてきましたが、第4次産業革命以降は「少量多品種」「数年で移り変わるニーズに応えていく」というのがグローバルトレンド。日本のやり方が通用しなくなってきました。近年はその影響がGDPや円安などに顕著に表れ、大手企業の経営陣を中心にそこへの危機感を強めているという背景があります。

ただ、オープンイノベーションは、単に企業が出会うだけでは進みません。価値ある未来をつくるという同じ目的のもと、「何のために」「どうやって」を整理していくことが重要。ノウハウを持つ私たちがそこをサポートすることで、より成果に直結する取り組みを増やしていきたいですね。

オープンイノベーションに追い風が吹き始めている今、eiiconとして挑戦していきたいことをお聞かせください。

この事業の原点である「日本の中小企業を元気にしたい」「そのためにオープンイノベーションを日本全国に浸透させたい」という思いは今も変わりません。実際には、時間とリソースをかけてオープンイノベーションに取り組めるだけの体力がある中堅企業がメインになりますが、そうした規模以上の企業は日本に54万社程度あると推測しています。

スタンフォード大学のある社会学者が提唱する「イノベーター理論」によると、ある技術や商品が普及する過程の中で、イノベーター(最も先進的にその技術に着目して採用する人)が2.5%、アーリーアダプター(それに次ぐ人)が13.5%。そのイノベーターとアーリーアダプターを足した上位16%の企業が『AUBA』を使ってくださっている状態になれば、「日本にオープンイノベーションが浸透した」と言えるのではないか。そんなビジョンのもと、事業をさらに拡大していきたいと考えています。

あとは、海外企業とのオープンイノベーションですね。まずは時差や言語の壁が比較的少ない東南アジアでの展開を視野に入れていて、マッチングイベントなども始めています。最近シンガポールやフランスのスタートアップ展示会に参加したのですが、多くの方が日本企業の「ジャパンクオリティ」とのコラボに興味を持ってくれていました。オープンイノベーションという手段を使えば、今後世界を席巻するような日本企業が出てくるのではないかと、期待がふくらんでいます。

中村さんはイベントでの講演や審査員などの活動にも精力的ですが、そこにも「オープンイノベーションを浸透させる」という狙いがあるのでしょうか。

そうですね。もともと人前に出るのがとても苦手だったのですが、2017年に初めてイベントのモデレーターを担当した際に大きな反響をいただき、登録社数が一気に伸びたことがありました。そのときに「事業をPRするなら自分が出るのがいちばん早い」と実感し、依頼をいただいたらお引き受けするように。そこから講演、テレビ出演、特許庁の委員会の委員など、活動の場が広がっていて非常に光栄に思っています。今でも人前に出るのは苦手なんですけどね…(笑)。

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#1 起業ストーリー

#3 GROWTH虎ノ門での
働き方

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#3 GROWTH虎ノ門での働き方

会社への帰属意識は大切にしながらも、一人ひとりの事情を考慮し合う

インタビューイメージ05

2023年5月から『GROWTH虎ノ門』に入居されていますが、入居することになった経緯をお聞かせください。

人材紹介の営業時代に、住友不動産の方と知り合ったのが最初のきっかけです。MBOでeiiconを設立することになり、その方にいいオフィスがないかご相談したところ、紹介していただいたのが『GROWTH虎ノ門』でした。

ほかの不動産会社のオフィスもいくつか検討しましたが、『GROWTH虎ノ門』がいちばん条件に合致し、立地やオフィス環境も理想的。eiiconの法人登記をしたその日に契約しました。

実際に入居してみて、いかがですか?

いろいろな点で柔軟に対応していただけるところがいいですね。たとえば、ちょっとした相談ごとがあるときでも担当の方に直接ご連絡できるので、とても助かっています。先日、設立1周年パーティーを開催したときも、場所のご相談をしたら『GROWTH虎ノ門』内の共有スペースをすぐに貸していただけて…。当社はメンバーが100人くらいいて、なかなか全員で集まれるスペースがなかったので、広いスペースを使わせていただけて非常に嬉しかったです。

ほかの入居企業との交流はありますか?

はい。入居してすぐの頃、住友不動産さんが企画してくださった交流イベントに参加したのですが、入居企業の経営者のみなさんと「どんな事業をしているか」「どうしてGROWTHに入居したのか」などいろんなお話をしました。それがきっかけで、今もオフィスですれ違ったときは世間話や情報交換をする間柄に。

実は、最初にイベントにお誘いいただいたときは忙しくて参加するか迷ったのですが、参加しておいて本当によかったです。それ以来、GROWTHのイベントのファンになってしまいました(笑)。

インタビューイメージ06

組織が拡大するにつれて、働く環境のアップデートも必要になっていくと思います。中村さんが大切にしていることはありますか?

組織が大きくなっても会社に対する「帰属意識」は必要だと思っています。全員がリアルに集まる機会は大切にしたいですし、オンラインミーティングでも画面はオンにするなどのルールを決めて、eiiconという船に所属している感覚をみんなが持てるように心がけています。

一方で、それぞれが子育てや介護などいろんな事情を背負っていることも事実。それによって「働きたい」という意欲や働き方が抑制されるのは、ナンセンスだとも思います。スタートアップという荒波を一緒に乗り越えていく社員のさまざまな事情に対しては、会社としても最大限の努力をしていきたいと思っています。

ですので、ベビーシッター補助の制度は会社を設立して最初につくりました。最近では、ワーケーションで働ける「リビングエニウェア」の制度や、その際に遠方で子どもを保育園に預けるための「保育園留学費用補助」といった福利厚生もスタート。ワーケーション時には「その地域でオープンイノベーションを広めるためのワークショップなどを実施する」という、当社ならではのルールも決めています。

みんなでeiiconという船に乗りながらも、それぞれの事情はお互いに全力で考慮し合う。そんな風土をこれからも大切にしていきたいと思っています。

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#2 これから実現したい未来

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