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The Voice of GROWTH グロースの声

! GROWTH

(グロース)とは?

席貸しから個室までフレキシブルにご利用可能な、住友不動産が提供する
家具付きインキュベーションオフィスシリーズです。

農業イノベーションで、

人類と地球の未来を守る。

アフリカの子どもたちが教えてくれた使命

農業イノベーションで、

人類と地球の未来を守る。

アフリカの子どもたちが

教えてくれた使命

サグリ株式会社

代表取締役CEO

坪井俊輔氏

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GROWTH

新宿

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サグリ株式会社

代表取締役CEO

坪井俊輔氏

@

GROWTH

新宿

サグリ株式会社 代表取締役CEO 坪井俊輔氏

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INTRODUCTION

気候変動、食料危機、貧困…。持続的な世界の実現のためには、さまざまな課題を根本から解決しなければなりません。それらの課題に「農業」の領域から挑んでいるスタートアップが、サグリ株式会社です。

代表取締役CEOの坪井俊輔氏は、大学在学中の2018年にサグリを創業。高い志のもと国内外で事業を展開しています。2024年4月にインキュベーションオフィス『GROWTH新宿』へ移転し、これからどんな未来を切り開いていくのか、起業家としてのビジョンをお聞きしました。

#1 サグリが目指す世界

衛星データで農地を「見える化」し、さまざまな社会課題を解決する

インタビューイメージ01

最初に、サグリが提供しているサービスの概要を教えてください。

当社は「人類と地球の共存を実現する」をビジョンに、「農地の見える化で価値を創造する」をミッションに掲げて、衛星データを活用した4つのサービスを提供しています。

1つ目の『アクタバ』は、衛星データを通じて耕作放棄地(※)を見える化する自治体向けのアプリ。各市町村では毎年1回、管轄内のすべての農地を見回って把握する必要があるのですが、『アクタバ』を使うとそれがひと目でわかり、データ管理もアプリで完結できます。
※以前耕作していた土地で、過去1年以上作物を作付けせず、この数年の間に再び作付けする意思のない土地。

2つ目の『デタバ』は、農地の作付け状況を見える化する自治体向けのアプリ。農家から申請された作物と実際に作付けされている作物が一致するかどうかをひと目で把握できます。

内子町イメージ

耕作放棄地も作付け状況も、従来は各市町村の担当者が一つひとつ目視で調査していたのですか?

そうなんです。大変な作業工数がかかっていたのですが、それを90%ほど削減できるソリューションになっています。

90%! かなりの業務効率化につながりますね。あとの2つも自治体向けのサービスでしょうか。

3つ目の『サグリ』は、自治体ではなく農家やJAの方々に向けたアプリです。農地の生育状況を把握して作業計画を立てたり、土壌の状態を把握して肥料コストを削減したりすることが可能。現在『サグリ』はインド・東南アジア・アフリカ・中南米などにも展開していて、AIで農地を区画化できるテクノロジーも備えています。

今年(2024年)4月にリリースした4つ目の『ニナタバ』は、農地所有者と農地を求める農家をつなぐマッチングサービスです。農家の高齢化は年々進んでおり、それにともない耕作放棄地も増えています。『ニナタバ』では分散した小規模な農地をまとめて農地集約をおこなうことで、農地を大規模にし、次の担い手となる農業生産法人とのマッチングをサポート。耕作放棄地の解消や農地の利用を促進していきます。

これらのサービスは、公開された衛星データを活用しているそうですが、サグリ独自の強みはその活用技術にあるのですか?

はい。我々は、衛星から得られる画像や波長のデータを組み合わせ、農地の状況を再現する“レシピ”をつくることができる会社。そのレシピの精度が高いため、再現性も高いという点が強みです。当社は衛星データの無償公開が始まった直後からそこに着目し、先駆けて事業化してきたので、市場を大きくリードしています。

その技術は「人類と地球の共存を実現する」というビジョンにどうつながっていくのでしょうか。

世界は今、食料危機や気候変動などさまざまな課題を抱えていますよね。その課題解決に「農地の見える化」で貢献し、次の世代の未来をより良いものにすることが我々の目標。社会課題の解決と経済的な成長を両立する企業をインパクトスタートアップと呼びますが、サグリのメンバーもそうしたマインドを持って仕事に取り組んでいます。

具体的に説明すると、耕作放棄地をなくして新たな農地を創出したり、農地分析データに基づいて農業の効率化やコスト削減を図ったりすることは、ひいては「食料自給率の向上」「農業の持続的な発展」「農家の所得向上」といったより良い未来につながります。農地分析データがあれば、化学肥料の削減や水稲栽培中に発生する温室効果ガスの削減が可能になるため、脱炭素社会にも貢献できると考えています。

4つのサービスのうち『サグリ』はすでに海外展開が進んでいるとのことですが、導入先が増えるほど脱炭素化に貢献できそうですね。

はい。さらに、新興国の農地の温室効果ガスの排出削減量を計測してカーボンクレジットを創出し、先進国の企業に販売した収益を農家に還元する事業も進めています。農家の収入向上と脱炭素化を同時に追求できる、非常に意義のある事業だと考えています。

海外事業でいうと、今年2月に開催された日・ウクライナ経済復興推進会議で、ウクライナのアグリテック企業とMoU(了解覚書)を締結。農地が約70%を占めるウクライナで、当社の土壌分析技術を活用して農地復興を目指す取り組みがスタートしました。「農地の見える化」のニーズは世界各国にありますので、今後さらにグローバル展開を拡大していく予定です。

#2 起業ストーリー

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#2 起業ストーリー

宇宙を夢見る少年から学生起業家、そしてサグリ経営者へ

インタビューイメージ03

坪井さんの起業家としての歩みをお聞かせください。

最初の起業は大学3年のとき。小学生向けに宇宙教室を開催する会社で、宇宙そのものよりアントレプレナーシップやチームビルディングを学ぶことを重視した授業をおこなっていました。僕には子どもの頃から宇宙を仕事にするという夢がありましたが、中学や高校に上がるにつれて周囲から夢を理解されなくなり、いつしか諦めてしまって…。子どもたちには自分の夢を追い続けてほしいという思いから、教育事業での起業を選択したんです。

起業後は大学を2年半休学して事業に専念していたとか。

はい。学生起業家を育てるMAKERS UNIVERSITYに参加した際、休学して事業を頑張っている学生がたくさんいて、僕も同じ道を選びました。不安はありましたし、親にも心配をかけてしまいましたが、起業仲間の存在が心の支えになりました。

ちなみに、つい先日の今年3月に、第6回宇宙開発利用大賞で内閣総理大臣賞を受賞させていただいたのですが、表彰式には両親も招待しました。そのときはすごく感激してくれましたね。

インタビューイメージ04

教育事業から農業という領域にシフトしたきっかけは何だったのでしょうか。

国内だけでなく海外でも教育事業をおこなうようになり、その一環でルワンダの小学校に訪れたときのこと。児童一人ひとりに将来の夢を発表してもらったところ、日本の子どもと同じようにいろんな夢が挙がりました。ただ、小学校を卒業すると親の仕事の手伝いをしなければならない子が多く、中学に進学できる子がそもそも少ない。つまり、自分の夢を叶えられる子はほとんどいないんです。それを聞いて、日本とのギャップにショックを受け、加えてそのような状況で夢を聞いてしまった自分自身にもショックを受けました。

子どもたちの親の大多数は農家。実際の農業の現場を見せてもらうと、作業はものすごくアナログで非効率でした。世界の労働人口の28%は農業に関わっていると言われていますから、ルワンダと同じ課題を抱える国がまだまだあるに違いない。そう考えていたときに衛星データの無償公開の情報を知り、そのデータを課題解決に活かせるのではないかと思ったんです。自分の中で点と点がつながった瞬間でした。

そのアイデアをもとに2018年にサグリを創業したわけですね。その後、いろいろとご苦労はありましたか?

そうですね。実は創業からこれまでに2度ほどチームが崩壊していて、社内の半数以上がいなくなってしまったこともありました。僕がなんでも自分でやろうとしてしまい、ほかのメンバーに託せなかったことが大きな原因だったと思っています。自分の専門外のことを無理にやっても機動力を持たせることは難しいし、経営者としての意思決定のつもりが「坪井のエゴ」と捉えられたこともあっただろうなと。

その失敗から権限委譲や役割分担を意識するようになり、自分でできないことはCOOに積極的に任せるようにしました。また、サービス開発に行き詰まったときにはCROにジョインしてもらい、農学とAIのプロフェッショナルである彼のナレッジを活かして一緒に精度を高めていきました。できないことを「できない」と言えるようになった瞬間を境に、チームも僕自身も大きく成長できたと感じています。

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#1 サグリが目指す
世界

#3 GROWTH新宿での
新たなスタート

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#3 GROWTH新宿での新たなスタート

世界で飛躍する日本発祥スタートアップの“モデルケース”を目指す

インタビューイメージ05

サグリは兵庫・東京・静岡に国内拠点を置いていますが、それぞれの役割を教えてください。

兵庫本社はサグリの原点。丹波市の農家の方々には、創業当初から農業のあれこれを教えていただきました。現在はバックオフィス機能がメインですが、兵庫本社は絶対に残すと決めています。

実質の本社機能は東京にあり、今年4月に新宿三丁目から、新宿住友ビルの『GROWTH新宿』へ移転しました。メンバーの通勤のしやすさから選んだ新宿ですが、どこからもアクセスがよく便利なエリアなので、東京の拠点はずっと新宿に置いています。

浜松支店については、農業に携わるお客さまが東海地方に多いことや、浜松市がスタートアップ支援に力を入れていることなど、さまざまな理由があって拠点を置いています。

GROWTH新宿に入居することになった経緯は?

住友不動産のGROWTH担当の方からお声がけいただきました。『ICCサミット KYOTO 2023』の「カタパルト・グランプリ」というピッチコンテストで優勝させていただいたのですが、それを見て当社に興味を持ってくださったようです。

以前のオフィスは今の5分の1くらいの広さ。コロナ禍を経て、週3日出社に増やしたくても席が足りない、ミーティングルームが少ないなどの課題があり、ちょうど移転を検討していたところでした。ここなら理想のオフィスをつくれると思い、入居することを決めました。

まだ移転して日が浅いですが、働き心地はいかがですか?

最高ですね(笑)。さっき全社員を集めて総会を開催していたのですが、オフィスにみんなが一堂に会することができるのは、改めて重要だなと実感しました。最近は毎月数人ずつメンバーが増えているので、数か月後にはさらに活気が増して雰囲気がグッと変わるのではないでしょうか。

また、移転を機に、事業部間の交流が活発に増えることも期待しています。会社の負担でランチ会やディナー会を開いてもいいし、広いオフィスならではのメリットを存分に活かしていきたいですね。

インタビューイメージ06

今後、GROWTH新宿ではほかの入居企業との接点も増えていくと思います。期待していることがあれば教えてください。

日本からグローバルへの進出を目指して、スタートアップ同士が高め合える環境になればベストですね。当社はその中でも、ほかの入居企業にとっての“モデルケース”となるような存在になりたい。シリコンバレーにFacebook創業の地があるように、いつか「GROWTH新宿にはあのグローバル企業のサグリが入居していた」と謳われ、スタートアップがこぞってGROWTH新宿に入居するような、そんな影響力のある企業へと成長したいです。それがインパクトスタートアップとしての責任であるとも思っています。

スタートアップの“モデルケース”となるために、これから事業や組織をどのように成長させていきたいですか?

各サービスのグロースに向けたビジネスサイドの強化、開発業務の内製化に向けたエンジニアサイドの強化、そしてIPOに向けた管理サイドの強化。まずはこの3点に注力していきます。海外事業については、最も注力したいのはカーボンクレジット事業のグロース。現在インドとシンガポールに子会社があるので、それらのチームをビジネスサイドとエンジニアサイドの両面から増強させていきたいと考えています。

「人類と地球の共存を実現する」という壮大なビジョンの実現に向けて、坪井さんご自身はどんな起業家でありたいと考えていますか?

僕の最大の役割は、サグリのビジョンやそこに行き着くまでのストーリー、事業のアウトカムについて、社内外のステークホルダーの方々に“伝える”ことです。それらを伝えることは、事業や組織、採用、資金調達などあらゆる面で重要であり、創業者である僕以上に強く的確に発信できる者はいません。

また、この会社にどんなことが起きても全部自分で吸収しようと思えるのも、創業者だからこそ持ち得る責任感だと思っています。僕には2歳の娘がいますが、娘に起きることはすべて親の責任と思えるのと同じ。社会課題に挑みながら社員やその家族を守ることはとても重たいロールではありますが、やり遂げるために日々成長していきたいです。

とはいえ、僕がいなければ回らない会社にするつもりはまったくないんです。僕がずっとCEOであり続ける必要性はないので、もしかしたらいずれ海外に渡って、農業の現場により近いところで仕事をする可能性もあるかもしれません。個の成長は会社の成長に反映されると思っているので、サグリの成長を止めないためにも、新しい環境に身を置いて自らを成長させるチャンスは常にうかがっていたいですね。

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#2 起業ストーリー

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